貴重資料データベースについて

貴重資料データベースについて

 16世紀の中頃、イエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルが心に抱いた大学設置の想いは、1913年に上智大学の設立で実現し、その後、キリスト教の世界観に基づいた教育・研究機関として発展の歴史を刻み、2013年には創立100周年を迎えました。
 この間、上智大学図書館は学術情報を提供する機関として、情報集積に努めてきました。知識や情報は、全てにおいて過去の蓄積の上に成り立っています。どんなに最先端の知識であろうとも、それは先人の成果を基にしているのであり、この成果の集積と伝達こそ、図書館に課せられた大きな使命であるといえます。建学当初より西洋文化を享受してきた図書館は、約3000冊の西洋古刊本や稀少本を所蔵しています。それら資料は、図書館の使命を果たすべく収集したのはもちろんのこと、外国人教員が来日の際に持参した図書や、教育理念にご賛同いただいた方々から寄贈を受けた図書などであり、その中でも特に稀少性と学術的価値を持つ資料は、貴重資料として扱われ、次代に伝達すべき資料となっています。
 上智大学図書館が保有している貴重資料の最大の特徴は、グーデンベルグの発明(1450年頃)した印刷技術によって1500年までに発行されたインキュナブラから、バチカン図書館に所蔵されている歴史的資料を、詳細かつ忠実に複製したファクシミリ本まで、多様な年代構成をとりながら多数のキリスト教関連図書を所蔵している点であり、上智大学の由来と歴史、そして教育理念を象徴するにふさわしい資料群となっていることです。

また、キリスト教以外の分野でも、歴史や法律、さらに日本の社会や動植物を図画によって世界に明らかにしたシーボルトの資料なども特徴の一つと言えるでしょう。
 こうした貴重資料は、破損防止の観点から、現在、貴重資料室に保管されています。しかし、図書館の資料の目的が、多くの利用者の目に触れ、情報伝達を行うことにあることから、より的確に該当資料の情報を見出し、利用に供することをねらいとしたデータベースの構築を進めています。まだ一部の資料が対象ではありますが、シーボルトの『Nippon』・『Fauna japonica』を中心として画像内容や解題からも検索できる「貴重資料データベース」として公開することとなりました。公開の試みは、始まったばかりです。これから経験を蓄積して、長い年月の間の知的財産を「よりよく活かす」機会の一つとしていきたいと考えております。この「貴重資料データベース」について、皆様からのご意見を頂ければ幸いと願っております。

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                上智大学図書館長

 貴重資料データベースの特徴

このデータベースは、上智大学図書館の貴重資料室に保管されている約3,000冊の資料を対象に、目録情報はもちろんのこと、画像や一部解題を付与した検索・閲覧システムです。

画像や解題については順次データベース化を進めています。

画像はJPEG形式で閲覧できます。



 貴重資料データベースの機能

  カテゴリ検索

・キリスト教コレクション

[聖書] [キリスト教一般][神学(教理・実践)] [イエズス会][個人伝記]など貴重資料の約5割を占めるキリスト教の分野を、より効果的にブラウジングしてもらうため、カテゴリー区分しています。

・シーボルトコレクション

[シーボルト概要]

1820年から1826年まで日本に滞在したフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトの『日本』と『日本動物誌』の詳細な解説と書誌・所蔵情報、および表紙・標題紙などの画像情報も見ることができます。

[信仰][風俗・習慣・生活][風景・地図][人物][服装][道具]

所蔵している『日本』の全ての版(ドイツ語、ドイツ語大型版、オランダ語版、フランス語版)の全ての図版を、その内容に応じて上記の6項目に区分しています。同じ図柄の異版を連続して見ることで、色彩や微妙なエッジの違いも確認できます。
画像のキャプションには以下の記号を付与して、版表示としています。
(記号が付与されていないのはドイツ語版)

L)ドイツ語大型版  (D)オランダ語版  (F)フランス語版

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所蔵している『日本動物誌』の鳥と魚の全図版を見ることができます。

  年表検索

キリスト教コレクションの資料は、出版年順にタイトルと著者名が年表形式で表示されています。年表には世界史とキリスト教史を併記することで、出版された時代背景や関連事項を読み取ることも可能となっています。

  実物を見るには

貴重資料の閲覧・複写の手順や貴重資料判断基準などを掲載しています。